由布院駅でしばし休憩をとるボンネットバス YUNOHIRA-SPA TOURLIST ASSOCIATION
〜湯平温泉観光協会〜
 運行開始から3年目となったボンネットバスの姿。2年前と変わることなく、観光客の目を奪う存在であり続ける。2006年11月、由布院駅前にて撮影。

 2004年10月16日、湯布院町(現由布市湯布院町)に念願のボンネットバスが走行開始――― 湯平温泉観光協会と亀の井バスによる今回のボンネットバス運行は、由布院駅〜湯平温泉場の15kmの道のりを結ぶもので、九州では平成に入ってから初めての事業運行となりました。
 運行開始の当日は由布院駅前でセレモニーが行われ、右田観光協会会長、佐藤哲紹(てっしょう)湯布院町長(当時)らが「由布院、湯平がボンネットバスで結ばれた。両地域の更なる交流につながる」、安田堅太郎亀の井バス取締役・バス事業本部長が「安全運行で両温泉の発展の一翼を担いたい」と挨拶しました。由布院発湯平温泉場行きの第一便には、関係者や湯平小学校の児童など約30人が乗車、懐かしい姿のバスに観光客も興味津々だったようです。(2004年10月17日大分合同新聞記事より参照)

2007年2月4日…見出しの画像を追加


ボンネットバス ボンネットバス車内の注意喚起プレートの下には・・・

 復活した車両は1967年製造のいすずBXD20で、定員は38人。当時のナンバーは「石2 う13-82」。石川県金沢市の北陸鉄道が購入から1978年までの12年間、金沢市内のローカル線で使用したのちに引退。91年から九州自動車歴史館に入館し展示保存されていたものです。

 運行開始2日目の17日(日曜)は私も乗車に行ってきました。乗車したのは湯布院発湯平温泉場行きで、乗客は2人と意外と少なめ。第一印象はその乗り心地で、正直言ってかなり驚きました。道路が舗装されているにも関わらず、走行中は常に縦揺れ。エンジン音もかなり甲高いものでした。スピードもそれほどではなく、後続の車が列を成してボンネットバスのあとを走行するといった光景も見られました。国道210号線上で一旦停車させ、後続車両を通行させる場面も・・・ 車齢40年近くで、なおかつ20年以上動いていなかった車両ともなると、さすがに毎日運行するのは難しいし、乗車するほうも毎日乗れといわれると大変です。それでも「昔のバスってこんな感じの乗り心地だったんだ」という、自分の中でも新しい発見ができました。 内装はボンネットバス独特の雰囲気そのままで、車両のモケットは濃いオレンジ色。シート配列は後ろ3列と最前列は前向きシート、その他はベンチシートを装備しています。つい最近まで静態保存されていたためか、古いながらも綺麗に清掃されている印象を受けました。個人的に最も気になったのは「急停車することがあります」「窓から手や顔を出さないように」といった、窓枠に取り付けられてある注意書きのプレート。注意書きの下には、北陸鉄道時代の広告もあわせて掲載されていたのが特に印象的で、ローカルバスならではの暖かさを感じることが出来ました。運賃表示機や両替機はもちろん、降車ブザーや自動ドアといった設備はもちろんないため、車掌さんが同乗して発券業務に当たっていました。また、折り返しの湯平温泉場発湯平駅行きではバスガイドの方も同乗しています(このときの乗客数は8人で、湯平温泉の宿泊客と思われる方々がほとんど)。


ボンネットバスのリア

 乗車後には、運転手と車掌さんにお話を聞くことが出来ました。運転手は亀の井バスのベテランの方でしたが、実際に運転したのは今回が初めてで、通常のバスを運転する感覚とは違う感じがしたとのこと。実際、車体長や車体幅、それにホイールベースに違いが見られたり、車内には現在では見慣れない機器が並んでいたためか、運転中も通常のバス以上に神経を使っていた様子がありました。
 また、車庫入れの苦労にも話が及びました。一日の運行が終了した後は、所有者である九州自動車歴史館の展示室まで回送されるのですが、展示室の幅があまりないため、ボディ等を傷つけないように細心の注意を払って車庫入れをしているという話を聞くことが出来ました。現在、県内で運転されるバスのほとんどはリベットのないスケルトンボディの車両で、事故などで損傷した場合でも内部に不具合がなければ、その部分を取り替えて復旧させることが出来ますが、今では希少なリベット車、なおかつほとんど現存しない型式の車両ともなると、部品の調達や修理もままならないのではと思いました。微細な傷ぐらいなら何とかなりそうですが、万が一車体をへこませたら・・・ と考えると、取り扱うにも相当な労力を使うのだろうなと感じることができます。


 以前、プロジェクトXで紹介されたことがありますが、湯布院町は昭和50年代の相次ぐリゾート開発業者の圧力にもめげず、原風景を生かした独自の街づくりにまい進していく姿が印象に残っています。美しい朝霧や辻馬車、それに今回のボンネットバスが、湯布院という街に新たなる彩りを加えてくれることを期待しています。


《2004年運行時のダイヤ》
区間由布院
 バスセンター
湯平駅前湯平温泉場
  →9:009:259:40
←   10:009:45
  → 10:3010:45
←  11:4011:1010:55
  →14:3515:1015:25
←   15:4515:30
  → 15:5016:05
←  17:0016:3516:20
《2004年の運行日》

2004年10月16日〜12月5日までの土曜・休日
 ※但し10月16日の午前便及び11月3日全便は除く

《運賃(片道、子供は半額)》

由布院バスセンター〜湯平温泉場間 900円
由布院バスセンター〜湯平駅間 700円
湯平駅〜湯平温泉場間 300円